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True Colors FASHION

True Colors FASHIONドキュメンタリー映像「対話する衣服」-6組の“当事者”との葛藤-写真作品

True Colors FASHION × LILY SHU

 

この服を纏った人を、抱きしめることを想像してみた。

繊維のレイヤー、縫い目と編み目が重なる衣服のこっち側が、わたしの肌に、
そっち側が、彼ら彼女達の肌に触れることを。

拡がる波紋のような柔らかさ、小石のような硬い塊。
軽やかななにか、重たいなにか。開いていくなにか、閉じ込められたなにか。
間にあるものが、わたしたちを渡る。

近くて遠く。抱きしめたあなたの顔が見えない。
曖昧な体温、小刻みな鼓動、触手のような蠢き。
それに、もしかしたら、十何年前の出来事、産まれる前の記憶、
まだ乾いていない涙、照らす微笑み。

写真は、見えていても見えていなくても、その時にあった、まばたき。
(LILY SHU)

20世紀に確立したファッションデザインの現場では、効率よく量産できるよう画一化された美の基準や”標準”という概念を軸に発展した歴史を持ち、ファッションの教育機関も少なからずそれらの概念を下地とした場であったと言えます。そのような前世紀的な思考から一歩踏み出し、デザイナーと当事者同士のより踏み込んだ感情と感情での対話が必要なのではないかと思います。葛藤や試行錯誤、まだまだぎこちなさが残る状態ではあるかもしれませんが、本プロジェクトはいままであまり意識化されなかった問題や課題、心の距離があぶり出された、つぎなる一歩へとなったのではないでしょうか。
(山縣良和)

斎藤幸樹 × カイト
『cotton mail』

斎藤幸樹 × カイトのイメージ

カイトくんに着てみたい服のデザイン画を描いてもらったら、テレビゲーム『ゼルダの伝説』のゼルダ姫の絵を描いてくれました。それに加えて、無邪気な性格、トランスジェンダーであることなどカイトくんらしさを意識したデザインになるよう制作していきました。

今回の服は綿と毛糸でできています。綿の質感や、境界線があいまいに映る部分でカイトくんの持つ雰囲気や内面を表すことができていたらと思います。カイトくんに楽しんでもらえるような服を目指しつつ、ぼく自身も楽しくありたいと思いながら制作しました。メイクでエルフの耳を施してもらったカイトくんは本物の妖精のようで、音楽を流すと踊りだしたり演技をし始めたりしてとても素敵でした。
(斎藤幸樹)

SiThuAung × アオイヤマダ
『untitled』

SiThuAung × アオイヤマダのイメージ

“障害”のないアオイさん。だからこそ私たちのペアでは、見られることを重視するファッションで、普段は見えない「身体」を表現したかった。意識した通りに動かないことや、自分の筋肉が服(磁石)によって無意識に動かされていること、そしてアオイさんがダンサーであるということも含め、「動き」というテーマも意識して制作した。
(SiThuAung)

市川秀樹 × 大前光市
『変見』

市川秀樹 × 大前光市イメージ

『ある機能をなくして、他の機能にする』
ポケットに見えるところが、袖のようになっていたり、スカートのようになっていたりします。

あなたは自分自身に対して偏見(へんけん)を持っているでしょうか?
大前さんはそれを変見(へんみ)に変えた人です。
見方を変化させていった人ということです。
自分に対して『おもしろいじゃん!』と思える自分を、またはアングルを発見したのではないのでしょうか。これだいぶデカいところです。
変見(へんみ)は一度や二度では終われません。全てのものが流転しているからです。
「変」と書くくらいですから変わり続けなければなりません。
(市川秀樹)

タキカワサリ × ちびもえこ
『BIG M』

タキカワサリ × ちびもえこイメージ

以前から作ってきた「rainbow rhapsody」というシリーズの一部として、今回の作品を作る事に決めました。このシリーズでは“人間はそれぞれのカラーを持った鼓動、音であり、光を放つ一粒の宝石、宇宙の細胞である”という考えを元に制作しています。

今回は太陽系の宝石である金星(ヴィーナス)を作る事に決め、浮かんできたのが「縄文のヴィーナス」でした。その土偶のフォルムがちびもえこさんの身体とリンクし、ちびもえこさんが好きだとおっしゃっていたHIPHOPに自分なりの解釈を加え、現代のHIPHOPではなく私の思う縄文のHIPHOPを彼女にぶつけてみることに挑戦してみました。私の作品が奏でる音とちびもえこさんがHIPHOP BATTLEし、可愛らしい“HIP”が“HOP” STEP JUMPする音色を奏でてみました。
(タキカワサリ)

田畑大地 × 葦原海
『Metamorphose』

田畑大地 × 葦原海イメージ

葦原さんとの対話を通してイメージを膨らませました。コンセプトは、葦原さんが自分自身と重ね合わせている人魚から人への変身、事故以前の葦原さんから車椅子を使用する葦原さんへの変身です。

トップスは座った状態でも脱ぎ着しやすいようにエプロンのような構造になっていて、素材は脱皮、濡れているという相反する質感を表現するために薄い布帛生地をポリプロピレンでコーティングしました。また、足の切断面に装着するアクセサリーは、葦原さんのような身体的特徴を持つ方への新しいアクセサリーとして提案をしています。
(田畑大地)

八木華 × 須川まきこ
『能動的な身体』

八木華 × 須川まきこイメージ

コンセプトは能動的に身体と向き合う女性像です。須川さんが描いたスカートをめくる女性の絵から着想を得ました。須川さんの描く女性は身体に対し能動的です。そのことに須川さん自身の身体に対する態度が表現されている点に注目しました。
スカートの内側に装飾を施し、須川さんがスカートをめくることで装飾が見えるようにデザインしました。須川さん自身が能動的に服に『めくる』という行為を通じて介入し、それによってデザインが変わるということを大切にしました。スカートの内側は須川さんの絵に登場する花を参考に、溢れるイメージの中、華奢な義足で力強く立つ姿を表現しました。
(八木華)

LILY SHU

プロフィール

  • LILY SHU写真

1988年中国黒龍江省ハルビン市生まれ。一個体の身体的実存からはじめ、空間・光・物質の宇宙論的アプローチをたどりながら、可視と不可視の政治学、越境する想像力をテーマに制作に取り組んでいる。
https://www.lilyshu.com/

クレジット

写真 LILY SHU
ヘア 小田代 裕(モッズ・ヘア)
ヘアアシスタント 宮本春花
メイク DAKUZAKU
メイクアシスタント SUMI
デザイナー 市川秀樹
斎藤幸樹
SiThuAung
タキカワサリ
田畑大地
八木華
モデル アオイヤマダ
葦原海
大前光市
カイト
須川まきこ
ちびもえこ
プランナー・
アドバイザー
山縣良和(ここのがっこう)
キャスティング Oi-chan
撮影アシスタント 稲川由華・藤井さくら
制作進行 城光寺美那・山本さくら
プロデューサー 金森香(一般社団法人DRIFTERS INTERNATIONAL)

True Colors Festival

歌や音楽、ダンスなど、私たちの身近にあるパフォーミングアーツ。

障害や性、世代、言語、国籍など、個性豊かなアーティストがまぜこぜになると何が起こるのか。

そのどきどきをアーティストも観客もいっしょになって楽しむのが、True Colors Festival(トゥルー・カラーズ・フェスティバル)です。

居心地の良い社会にむけて、まずは楽しむことから始めませんか。

Meet The Family(TCFファミリーの素顔):タン・ビー・ティアム

True Colors Film Festival シンガポールPRチーム

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