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True Colors DANCE

Kitakyushu/Interview:ゲストアーティスト GOMESSさん

Kitakyushu/Interview:
ゲストアーティスト
GOMESSさん

“今生きるそれが歌になる”

Vol.8:True Colors CARAVAN in Kitakyushuレポート!
Kitakyushu/Interview:ゲストアーティスト GOMESSさん ▶︎▶︎この記事
Kitakyushu/Voice:CARAVAN Performersがいま感じていること

True Colors CARAVAN in Kitakyushuにゲストアーティストとして出演してくださった、“自閉症と共に生きるラッパー”GOMESSさん。
この日のステージを終えてGOMESSさんが感じたことは? GOMESSさんにとっての居心地の良い社会とは?
クリエイティブ・ディレクターの森下ひろきさんと聞きました。
GOMESSさんのステージの様子はレポートもご覧ください!

マイクを片手に持ち、もう片方の手を胸に当てて歌うGOMESSさんの横顔

好きじゃない、を凌駕する
パフォーマーの魅力

  1. 顔を上げ風に吹かれながら目を閉じて歌うGOMESSさん

    -今日、True Colors CARAVANに参加されて、いかがでしたか?

    GOMESSさん
    僕は大人数で何かをすることがあまり得意じゃないんです。
    もちろん、一人で活動してはいるけれど、楽器を弾いてくれる人や、今日だったら音響さんやいろんな人に助けられてライブができています。そういう意味では人と手を組んでやるのはうれしいことなのですけど。
    このCARAVANでは、集団性というものを用いて仲間たちで作るというのを主体にしていますよね。そういう面で、本来僕は混ざるのが苦手だし、自身がそれをやろうとも思わない。好き嫌いでいえば好きじゃないものなんですね。
    なんですけど、この活動を僕は断ることもできたのになぜ参加したのかというと、知り合いが何人かいて、彼らはパフォーマーとして超一流で、単純にかっこいいものを見せてくれる仲間という印象があったからです。

  1. ステージに座って歌うGOMESSさん。隣にはDAIKIさんが座り、CARAVAN Performers がステージ上で踊っている

    かっこいいパフォーマーが集まってかっこいいパフォーマンスをするときに、かっこいいアーティストとして呼んでもらっているんだったら、細かいこと抜きにとりあえずかっこいいことをやって、その二乗三乗ですごいショーができるんじゃないか。
    群れたり集団で何かをするという、本来自分が好きじゃないことを取っ払ってしまうくらいかっこいいと思うアーティストたちだから、純粋にそれがすべてを凌駕して今日ここに立つに至りました。
    そしたらみんなやっぱりかっこよくて。僕のライブのいろんな曲にも彼らが入ってくれて、最後は全員で。まさしく自分が出たいと思った動機そのままが実現されたので、本当に出てよかった、ついてきてよかったなと思いました。

  2. 観客席の後ろで立ったり体育座りをしながらGOMESSさんのステージを見つめるCARAVAN Performersと森下さん、伊豆さん。

    GOMESSさんのステージを見つめるパフォーマーたち

    -CARAVAN PerformersのDAIKIさんも、かんばらけんたさんも、徳永啓太さんも、GOMESSさんとの共演が楽しみで特別な思いでいると教えてくれました。GOMESSさんのステージを見つめるみなさんの表情からもその思いが伝わってきて、ステージ上もその周りもなんとも素敵な空間になっていました。

森下さん
演出・振付を担当する伊豆牧子さんと僕は、GOMESSさんのステージを見ながら泣いてましたね。CARAVANが6回巡ってきた中で、いろんな人とのはじめましてとさようならの繰り返しがあって、そして今日1日も「せーの!」でここまでできるんだと。最後にみんながステージに立ったとき、GOMESSさんの即興の歌詞から「True Colors それぞれの人の色がある」って聴こえた時、涙が出てきました。もう、本当に感動しました。

GOMESSさん
僕ちょっと底意地の悪いところがあるので、終始いい子ちゃんみたいなことは絶対言わねえからな、みたいな。けど、すげぇ楽しかったです(笑)

苦手からはじまった「言葉」だからこそ
敏感に関わり合える

気持ちよさそうな表情で歌うGOMESSさんの横顔。

森下さん
CARAVANのみんなも、はじめから仲がよかったわけでもないし、別にいい人の集まりでもないし、自分が悪いときだってあるわけです。内情としては拳を握りしめるような、手を振り上げたくなるようなときもあって、でもそうしながらも回数を重ねて今に至っています。わかろうとしてもわかりにくい、見えにくいものが多々ある中で、GOMESSさんの心の声みたいな言葉が胸に飛び込んできたときに、それだ!って刺さるポイントが多すぎて。改めてGOMESSさんにとって言葉ってどういう表現なんでしょうか。

GOMESSさん
言葉は器、容れ物だなという感覚はやっぱりあって。誰がどういうタイミングで、いつどこで何を言うか、全てが密接に関係していて、何か一つ変われば狂っていく。
そして誰がいつどこでそれを言ったとしても、誰がいつどこでそれを聞くかが大事だし、その聞くというものの間に余計なノイズがあれば、それはまたかき消されてしまう。本当に脆いもので、あってないようなものなんだよな言葉ってのはって強く思っています。
僕が言葉にこだわる理由は、言葉が苦手だったというのが前提にあります。
僕、もともと文字が読めないんですね。読む練習をずっと続けて、台本を読むのはまぁなんとかぐらいにはなりました。でも小説や本はまだ読めなくて。こうやってインタビューを受けたときにも、原稿をいただいたら友だちに読み上げてもらったりしています。
そういう状況にいて、文字が苦手なんですね。言葉を話す・聞くというのも、伝えるのも下手だし伝えてもらうのも下手です。
わかりやすい例でいうと、親父が「それとって」の「それ」がわからない。いつもメガネをしている親父がメガネをしてなくて、親父の見たいテレビ番組が始まっていて、僕の所にメガネがあったとしても、それだけ状況が細かく見えているのにそこでつまずいちゃう子どもでした。自閉症っていう僕がもっている発達障害の特性としてよくある症状らしいんですけど。言葉を直角にそのまま捉えて、それが孕んでいる意味を想像することに乏しいというか。
それが原因でいろんなトラブルがあったから、めちゃくちゃ勉強しました。「それ」って言われたときに推測できるようにいろんな推理ゲームをしたり。少しずつ本当はこう言っていないのに誤解されてしまうことや、外側と中身にある違いや矛盾に過敏になっていくことができて。その積み重ねで、苦難していたところから言葉がおもしろくなった感じですね。

森下さん
一つひとつの言葉が、目で見ている景色と同じようなレベルで伝わってきてGOMESSさんのメッセージがとても伝わってきました。特に、何度も何度も同じ言葉を繰り返すところなんかは、すごく心に刺さってくる感じで熱くなるものがありました。

GOMESSさん
僕はスピーカーだという自覚があります。人よりも高いステージで、人よりも見られる場所にいて、マイクを持って大きな音で喋ることができる。だからスピーカーとして発する、発言するという意味において、些細なことでも、みんなが黙っちゃうようなことを声高々に言っていこうと思っていて。今日はここにいる誰も彼もが聞いて納得する、そうだよねって思えるようなことがちょっとでも多くあればいいなと意識してやりました。

悪と善が共存する自業自得の世界観

少し下を向き、振り絞るような表情で歌うGOMESSさん。

-True Colors Festivalは、パフォーミングアーツを通じてみんなが楽しみながら「居心地の良い社会」に向かうことを目指す取り組みです。GOMESSさんにとっての居心地の良い社会とはどんな状態でしょうか?

GOMESSさん
僕にとってと限った話をするならば、「自業自得の世界」が結構好きなんです。
もちろん不条理や、正当ではない仕打ちを受けている人は自業自得ではないです。
僕は可能性っていうものがいっぱいあると思っていて。たとえば自身の話なんですけど、僕は自閉症をもって生まれました。診断されたのが10歳のときです。いろんな人の思いがあって、いろんな人が助けてくれようとして、お母さんと担任の先生と病院の先生が相談し連携を取って、クラスメイトに僕に障害があることを打ち明け、できないことがあるからサポートしてあげてね、とお願いする立場をとったんです。それまで僕は嫌われ者ではなかったと思うんですけど、かといってめちゃくちゃ人気者でもなく、いわゆる普通のクラスメイトでした。だから僕もちょっと恥ずかしいなってくらいでどうなるかわからなかったんですけど。
いざ言われてみると、障害者だということで結果としていじめが始まったんです。僕は当時恨みました。お母さんのこと、全員のことを。そして不登校になった。みんなのことが嫌いだったし、余計なことしやがってと怒っていた。これは僕、とても正しい感情だと認めてあげたいんです。
だけど、そのことに関していま自業自得の話をするならば、それでお母さんや担任の先生が落ち込むのは自業自得だと思うんです。どんな善意であったとしても、やったことだから。だけれども、もし、それまでの僕の行いがもっとよいものであれば、たとえばみんなのために頑張るとてもいい子だったならば、いじめにはなってなかったかもしれない。だとしたら僕の自業自得の可能性もあるかもしれないんですよ。
そういうありとあらゆる角度を増やせば増やすほど、自業自得だねっていえる場面やケースが増えてくるんです。これを一つひとつ認めていきたくて。その結果として人が一番傷つかないものを選びたいっていう感覚があるんです。
だから僕は、誰かが悪くない世界っていうのは嫌なんです。お母さんも悪かった。いじめてきたやつも悪い。先生も悪い。でも俺も悪かったよ。じゃあ良いことをしたのはどこだろうって。全部個別に判断したいんです。悪かった部分を善意で消したくなくて。そういう意味での自業自得の世界です。悪と善が両方常にある世界が僕の好きな世界観ですね。

森下さん
歌詞に乗っかってくる言葉がたぶんそれを背負って歌っているんだろうなって思いました。自分の吐いた言葉に責任を持つ、そこにGOMESSさんの自業自得があるってことですね。

GOMESSさん
僕は何度か自殺未遂をしたことがあります。常日頃からそう思っているわけではなくて、ふとしたタイミングで。昨年も10年振りに、それが突然来たんです。
そこでまっ先に考えて遺書に書いた言葉は、思いつく限りの友だちの名前と、そして君は悪くないっていう内容でした。許すことを書いていったんです。絶対に背負うなこれをと。自分の中の仮想敵を作って俺を殺したのはもっと別にいる、でも君は絶対に知らないと。
その遺書を世に出すことはなかったんですけど、そういう世界観というか。僕が悪い、君が悪いもできてしまうから、終わりのときぐらい誰も悪くない世界で終わろうとしたっていうのがその時の僕の感覚で。その後と前とで僕はより価値観が固まったと思います。変わることはなかったんですけど、固まったっていう感覚が強くて。あのとき最後に何も悪くない世界っていうのを望んだなと。

森下さん
自業自得という自分の言葉への責任と、その先のすごく遠いところに誰も悪くない世界があるのかなって。

GOMESSさん
理想論だけで言うならば、もちろんだれも悪くない世界ですけど、僕はそんな世界は絶対にあり得ないと思うので、だったら自業自得。絶対全員が悪い世界というのが一番理想的だなと。誰も悪くない世界に一番近いのは、全員が悪い世界だなと僕は思うんです。
それを自問自答していく中で歌詞を書いたり、みんなに披露して今日思ったことやその場で起きたことを問いかけ言葉に出して、なるべく共有して、君はどう思った?って。だから俺は生きてきたぜ、お前も生きてきただろっていう確認を毎回していく。俺は俺で一個一個に答えを見つけていくし、見た人も自分なりの答えを見つけてっていうのを繰り返していきたい。それを放棄したくないなって思っているんです。


リハーサルからステージ、インタビューと続いたこの日のどの瞬間も、GOMESSさんの眩しさと優しさと憂いが混在するあり方は一貫していて、関わる人たちを強烈に惹きつけていました。
“Life time you living 今生きるそれが歌になる”
最後に歌ってくれた「Poetry」の歌詞が心に響き続けた1日。GOMESSさん、CARAVANにご参加くださりありがとうございました。

Guest Artist GOMESSさん
1994年9月4日生まれ 、静岡県出身。第2回高校生ラップ選手権準優勝を機に“自閉症と共に生きるラッパー”として注目を集め、自身の生き様を歌った楽曲「人間失格」、「LIFE」は見る者に衝撃を与えた。以降、NHK「おはよう日本」や「ハートネットTV」で特集を組まれるなど、独特の思想、ライフスタイルが様々なメディアで取り上げられていく。また、中原中也の詩「盲目の秋」を朗読カバーした楽曲は中原中也記念館に展示されたりとポエトリーリーディングでも才能を発揮する。2015年、民謡を唄う朝倉さやとのコラボ楽曲「River Boat Song」を収録したアルバム「River Boat Song -FutureTrax-」が第57回日本レコード大賞企画賞を受賞。同年よりSEKAI NO OWARI主催のライヴイベントに4年連続で出演。2018年、Aqua Timezの楽曲「えにし」に客演参加。2019年、東海テレビの公共キャンペーンCM「見えない障害と生きる。」に楽曲提供&出演し、AACゴールドやギャラクシー賞をはじめ数多くの広告賞を受賞。そして2020年には、山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)らと共にプロジェクトバンド・YGNT special collectiveに参加するなど、ジャンルや体裁に収まらない多種多様な表現を繰り返し、唯一無二の存在として“生きる言葉“を吐き続けている。

取材・執筆:平原礼奈(True Colors CARAVAN広報チーム)
撮影:濱本英介(AcePhotographic)
取材日:2022年9月11日

True Colors Festival

歌や音楽、ダンスなど、私たちの身近にあるパフォーミングアーツ。

障害や性、世代、言語、国籍など、個性豊かなアーティストがまぜこぜになると何が起こるのか。

そのどきどきをアーティストも観客もいっしょになって楽しむのが、True Colors Festival(トゥルー・カラーズ・フェスティバル)です。

居心地の良い社会にむけて、まずは楽しむことから始めませんか。

新しい扉を開く体験

シンガーソングライター/ True Colors BEATS出演者

フアナ・モリーナ

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