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【Meet The Family(TCFファミリーの素顔)】2021年12月に開催したTRUE COLORS FILM FESTIVAL(以下、TCFF)では、作品選定から広報、字幕制作、上映会運営まで多くの方にご協力いただきつつ幕を閉じました。今回は、TCFFでプロデューサーを務めたテオ・スィー・レンさんにフェスティバルで伝えたかったことを伺いました。
Q: 映画祭に関わる仕事をするようになった経緯を教えてください。
1987年の第一回シンガポール国際映画祭の設立に携わり、その後20回に渡ってこの仕事に従事しました。この20年間は、映画製作者、配給会社、映画祭関係者、映画評論家、そして観客と世界中をつなぐ強力な基盤となりました。シンガポール国際映画祭でアジア映画に焦点を当てたことで、この分野で働きたいという思いが強くなり、映画上映、出版、シンポジウム、教育普及活動などを通して、アジア映画の普及とネットワーク作りの最前線に立ちたいと思うようになりました。
Q: TCFFは第二回目の開催となって、観客数が前回を大きく上回りましたね。率直な感想をお願いします。
まずは観客動員数の増加に安堵しています。パンデミックの状況下で、また、視聴者がインターネットで多くの番組を選択できる中で、私たちはできるだけ多くの視聴者にアプローチするための努力をしなければなりませんでした。チームで立てた戦略が、視聴者数の増加に繋がったことをうれしく思っています。
Q: プログラム編成チームはどのように作品を選んだのですか?選定基準などあったんでしょうか?
チームでは、障害、ジェンダー、差別、移住、逆境、人種差別、性などの問題について、世界中から集められた多くの映画をリサーチし、鑑賞しました。よりインクルーシブな世界のビジョンを反映するような映画を探求しました。映画祭の大きなメッセージである「One World, One Family(世界は一つの家族)」がどのようなものであるかについての認識と理解を高めるために、慎重にキュレーションをおこないました。
Q: 第二回目の映画祭で目指したものは何でしょう?
映画には、インスピレーションを与え、認識を改め、意識を高め、教育する特別な力があります。私たちがキュレーションした映画を観ることで、観客が理解を深め、よりインクルーシブな世界というビジョンについて考えてくれることを期待しました。
Q: TCFF2021年のテーマは「Perspectives(視点)」でした。この映画祭によって、スィー・レンさんご自身の視点は変わりましたか?
フェスティバルそのものが、障害やアクセシビリティ、多様性や包括性といった問題を議論するためのプラットフォームになりました。また、こうした対話を続けることで、変化を促すための感性と依りどころを身につけました。
Q: True Colors Festivalのメッセージは「One World One Family」です。この言葉はスィー・レンさんにとってどのような意味を持つのでしょうか?
True Colors Festivalのビジョンと目的は独特であり、この困難な時代に最も必要とされているものです。今、世界には多くの格差や逆境がありますが、「One World One Family」のビジョンは、希望と人と人とのつながりをもたらしてくれます。
テオ・スィー・レン(Teo Swee Leng)
1980年代半ば、地元の劇団で管理者兼プロデューサーとしてアートマネジメントの仕事に携わる。シンガポール国際映画祭を20回開催した現在も、シンガポールや地域の教育機関や芸術機関向けに、映画祭や芸術関連イベントのプロデュースや企画運営を続けている。