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【Meet The Family(TCFファミリーの素顔)】昨年に引き続き、国際障害者デーでもある12月3日から、多様性にふれるための無料オンライン映画祭「TRUE COLORS FILM FESTIVAL」がスタートします。今回は、日本でプログラムの制作を担当した佐々木紀子さんに、映画に対する思いや、映画祭の見どころなどについて伺いました。
Q: これまで映画とはどのように関わってこられたのでしょうか?この仕事を選んだきっかけなど教えてください。
10代の頃、映画館を出た後に、その後に見える風景や考え方が変わる体験をしました。その頃に<何か映画に関わる仕事に就きたいな>と思ったのが、きっかけです。
Q: 「TRUE COLORS FILM FESTIVAL」の中でどの様な役割を担われましたか?
映画祭で上映するための作品の選定(日本で製作されたものを担当)と上映までの権利交渉、映画祭の開催告知をweb媒体に紹介していただくための一連の広報活動のほか、英語で製作された作品を日本語字幕で上映するための字幕制作業務も担当しました。
Q: 今回の映画祭のテーマは「Perspective / 視点」ということですね。どのような映画が集まったのでしょうか?
本年度のプログラムは、長編・短編作品を合わせた31本を予定してます。初の“盲ろうの俳優”を起用、2021年アカデミー賞にノミネートもされた『Feeling Through』や2014年アカデミー賞短編実写映画賞受賞、天国を信じない病状末期の少年・アルフレッドを主人公に描かれた、美しく感動的な短編映画『Helium』、2017年のアカデミー賞 短編映画賞を受賞、国内外映画祭でも25賞を受賞し、8賞にノミネートされた、耳の聞こえない6才の少女が手話を学ぶことで新しい世界への扉を開く『The Silent Child』のほか、制作スタッフの過半数が障害のある人で構成された初のミュージカル『Best Summer Ever』など、初めて日本語訳付きで鑑賞することのできる貴重な作品もあります。
『Feeling Through』(2021年/アメリカ/18分)短編プログラムで公開
もちろん日本製作作品の上映もあります。True Colors Festivalのために作られ、2021年のニューヨーク映画賞を受賞、ロンドン・ファッション映画祭のオフィシャル・セレクションにも選ばれたオリジナル・ドキュメンタリー『対話する衣服』と、著名アーティストの作品も手がける“ろう”の写真家・斎藤陽道が、嫌いだった「うた」と出会うまでの記録を辿ったドキュメンタリー『うたのはじまり』などの河合宏樹監督による2作品や、父の再婚を祝うために実家に戻った娘を待っていた“花嫁”はなんと父親だった!という、ふくだももこ監督による独特の視点で多様性を描いた短編『父の結婚』など、いずれも観る人の視点を問い、視野を広げることを重要なテーマに添えた、合計12カ国から集まった珠玉の作品群が全て無料でオンライン上映されます。
『うたのはじまり』(2020年/日本/86分)長編プログラム内で公開
Q: プログラムの制作過程で特に印象に残っていることがあれば教えてください。
日本に紹介されていない素晴らしい作品が世界にはまだまだあるな、と素直に感動しました。
この映画祭で上映するために初めて日本語字幕をつけた作品も多く、この映画祭に携わることがなければ知らなかった作品ですし、これらの作品をチョイスしてくれたシンガポールチームには感謝です!
Q: True Colors Festivalが取り組む「多様性」を伝える上で、映画という表現媒体だからこそ得られる利点や難しさなどはあるでしょうか?
あくまで私の考えですが、映画という表現媒体は、いろんな手段で作品に情報を詰め込む方法があり、制作者の感情が、より伝わりやすいツールだと思います。それが映画の利点だと思います。
Q: 今回の映画祭を、どんな人たちにどんな風に見てもらいたいでしょうか?見どころなどあれば一緒にお聞かせください。
「“多様性”ってよく聞くけど、一体それって具体的にどうゆうこと?」と、漠然とした疑問を持ってる方が最近多いと聞きました。ですので、そういった方達に、少しでも気になる作品があればまずは1作品クリックしてみて!とお伝えしたいです。何か自分なりの答えが見つかる<きっかけ>になるかもしれません。
Q: True Colors Festivalは多様性とインクルージョンを称える芸術祭として、特に海外に向けて「One World One Family(世界は一つの家族)」というキーワードでPRを行なっています。佐々木さんの考える「ワン・ワールド・ワン・ファミリー」について教えてください。
それぞれが、自身の家族と同じように他人に対しても共感したい、という姿勢を持つことかな、と考えています。国であれ人であれ、みんなそれぞれ事情は違うので、理解しあえることはそう多くはないと思いますが、話を聞こうとする、共感しようとする姿勢を持つことが大事だと思いますし、それがこのキーワードにも繋がるのではないのかなと。
佐々木紀子
True Colors Film Festival制作、映画web宣伝、制作
新作映画を中心に、その魅力をwebマスメディアの方や一般の方に対して伝え、劇場に足を運んでもらうための仕事をしてます。あと、たまに映画のHPサイトも作ったり、デザインしたりも。