Sapporo/Voice:CARAVANの中間地点で、スタッフの声を集めました
Sapporo/Voice:
CARAVANの中間地点で、
スタッフの声を集めました
いろんな「間」でステージを支える人たち
こんにちは。True Colors CARAVAN広報チームの平原です。
全国6都市を巡るTrue Colors CARAVAN(以降CARAVAN)第三弾となった札幌は、東京での出発式も入れるとちょうど旅の中間地点でした。
そこで今回は、普段表舞台に出てくることはないけれど、さまざまな役割でCARAVANを作り上げているスタッフのみなさんにお話を聞くことに。
本当にたくさんの人がCARAVANに関わっていて、ここでは一部の方のご紹介になってしまうのですが、ステージを支えるみんなのいまの気持ちや心の変化について、ぜひ知っていただけたらうれしいです。
Sapporo/CARAVANの中間地点で、スタッフの声を集めました ▶︎▶︎この記事
家から会場の間も地続きに。
みんなの応援で実現するCARAVAN
星野美咲さん
(CARAVAN Performersマネージャー)
-美咲さんはHARUKIさんのお姉さんとしてイベントに付き添ってくれていました。いまはCARAVAN Performersのマネージャーのような存在で、CARAVANに同行してくださっています。どんな気持ちで参加していますか?
美咲さん
はじめはHARUKIの将来につながるいい経験になればと思って参加させてもらいました。それまでイベントの付き添いは母が担当していたのですが、体調を崩してしまって、私が担当することになったんです。
ここまで長期間のイベントに出演するのはHARUKIも初めてなのですが、一生懸命やっているし、みなさんとこれからもつながっていけたらいいなという思いでいます。
-長時間のリハーサルやイベントでも、みんなのことをよく見て細やかに動いている美咲さん、すごいなぁと。パフォーマーの一番近くにいる存在ですよね。
美咲さん
東京での出発式が終わって地方へ遠征となるときに、HARUKIのケアをする人を付けてくださいとお願いしたんです。それだったら美咲ちゃんが一番適任ですと言っていただいて。
その流れでパフォーマーのみなさんの衣装の片付けやトイレの案内、ごみの回収などの仕事も担当するようになりました。みなさんが気持ち良くいられるように、できることを考えています。回を重ねるごとに、仲間として入っていけているような感覚でいます。
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-みんなが安心してCARAVANにいられるように、美咲さんからの提案でいまのマネージャーのような形になったのですね。すごいなぁー。
美咲さん
母がいなかったらできていないです。私にはまだ小さな子どもがいて、イベントの時は母が家で見てくれています。普段料理をしない父も遠征中はごはんを作ってくれたり、家族総出でなんとか、という感じですね(笑)
私は目に見える形でここに参加していますけど、見えないところで家族みんなが応援して支えてくれています。厳しいなって思うときも正直あるのですが、HARUKIのやりたいという意志を尊重したいし、みなさんも続けてほしいと言ってくださるので、最後までやりきるということが大事かな、といまは思っています。
ステージとお客さまの間を言葉でつなぐ
西本宏樹さん
(WR/アクセシビリティディレクター)
-西本さんは、リハーサル中は動画を撮ったり資料に何かを書き込んでいたりして、本番直前までずっと制作をされている印象があります。
西本さん
日本語音声ガイド※の原稿を作っています。
たとえば今回、札幌で出演するダンサーの誰がコラボダンスに出るかはリハで決まりましたよね。そうした内容を原稿に盛り込んでいるんです。
※音声ガイド:ステージ上で起こっていることを音声で説明する鑑賞サポート。CARAVANではスマートフォンから利用することができる
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-それは、ステージ用の台本とは違うものなのでしょうか。
西本さん
はい。音声ガイドのナレーター用原稿は、ステージの台本よりさらに細かいものです。たとえばパフォーマンス中は、台本には何も書かれていないんですね。でも、音声ガイドはずっと喋っています。舞台上で誰がいま何をしているか、たとえば台本では「みんな集合!」となっていても、音声ガイドでは「●●さんと●●さんがステージに上がりました」など、視覚的な情報を音声で伝える必要があるんです。 -
札幌での音声ガイドのナレーターを担当してくださった船本由佳さん
-そんなに細やかな情報を。準備の段階で詳細まで把握できていればいるほどいいガイドができるということでしょうか。
西本さん
音声ガイドの多くは、台本と動きが決まっている映像や舞台で使われることが多いのですが、CARAVANはライブなので、ナレーションをしてくださる人もすごく大変だと思います。原稿を用意していてもハマらない時も多いんです。誰かがステージで喋るとそれが優先になるので、原稿を準備していたけど入れられなかったということもよくあります。
-これだけの準備をして、あとは現場で手放しながら流れに合わせてつないでくださっていたのですね。
西本さん
音声ガイドのことを知らない人も多いと思うのですが、知ってもらえたら嬉しいですね。よかったらイベント当日はCARAVANの音声ガイドを聞いてみてください。どなたでも聞けますので。
CARAVANの鑑賞サポートは、音声ガイドのほかにも日本語の字幕放送や、手話通訳による情報保障があります。 -
札幌での手話通訳を担当してくださった、北海道ろうあ連盟北海道手話通訳派遣センター石狩の山下さんと神さん。
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字幕放送を担当してくださっているNHKグローバルメディアサービスさん
字幕のテキストデータは、イベント終了後に私にもいただいており、記事をまとめるのにもとっても助かっています。
お客さまとステージの間でCARAVANの情報を届けてくださるスタッフのみなさん、いつもありがとうございます!
ここにいない人にも
CARAVANへの入り口をつくりたい
佐藤さん、蔡さん
(公式Twitter担当)
-佐藤さんと蔡さんはTrue Colors Festivalの公式Twitterを担当してくださっています。いわゆる「中の人」としてCARAVANのことも発信する中で、どんなことを感じていますか?
-
#今日見つけたTrueColors
佐藤さん
Twitterは気軽につぶやけるのがいいところなので、いまそこで何が起きているかの空気感を発信することが大事だなと思っています。
蔡さん
自分だったらこういうツイートだと「いいね」したいなとか、ユーザーとしての目線で考えていますね。
-CARAVANがスタートして少し経った頃からツイートの回数が増えて、内容も#今日見つけたTrueColors とか、現場で起こっているささやかな出来事が上がっていて見るとほっこりした気分になります。
佐藤さん
親しみを持ってもらえるように、人格をもたせたんです。イメージしているのは、すごく真面目なんだけど、ちょっと抜けているような人ですね。
蔡さん
それと、フォロワーのことをファミリーと呼んでいて。フォローしてください、というよりD&I(ダイバーシティ&インクリュージョンの略)を一緒に広げ伝えていくファミリーになってくださいと。そうしたちょっとした言葉のニュアンスも大切にしています。
佐藤さん
D&Iはこういうものです、とは言わないようにしているんです。
完全に理解するのではなくて、あ、こういうこともダイバーシティなんだって、少しでも考えるきっかけになればいいなと。ちょっと見てみようとふれてもらう動線の一つをつくることが、自分の役割かなと思っています。
鈴江真也さん
(カメラマン)
カメラを構える鈴江さん
-鈴江さんとは、CARAVANがスタートする前、乙武洋匡さんとryuchellさんのアンバサダー対談のときから取材をご一緒しています。これまで全てのステージも撮影してくれている中で、いまどんな気持ちですか?
鈴江さん
東京での出発式から、名古屋、広島と回を重ねるごとに、ステージがどんどん自由でエネルギッシュになっていて、写真を撮りながらぐっときています。
広島で気づいたことがあって。写真を撮る上で、パフォーマンスだけというより、みんなが注目していない部分で、その人がその場に感じていることが表情として出てきている様子が撮れたらいいんじゃないかなと。
-鈴江さん自身にもなにか心の変化がありましたか?
鈴江さん
CARAVANの中に自分も組み込まれていっていると思います。これは単発の参加ではわからないかもしれない。みんなについていく積み重ねで、より伝わっていけるというのが利点やうれしさでもあるなと思います。
パフォーマンス以外でも、ここに関わっているみんながそれぞれの表現をしていて、自分もその1人なんだと思ってから視点が変わりはじめましたね。
気づきは日常にも波及して
山小田安希さん
(WR/プロジェクトマネージャー
/広報PR担当)
-山小田さんはCARAVANのプロジェクトマネージャー、広報PRの管理担当としてスタッフをつないでくれています。いまどんな思いでいますか?
山小田さん
勉強させてもらっている部分が多いと思います。
実は私、もともと介護の学校に通って介護福祉士やガイドヘルパーの資格をとっていて。その後就職してからは、テレビ局に入ったりスタイリストの仕事をしたり、介護とは遠い職種だったのですが、いまこうしてCARAVANに関わって、結局ここに行き着いて。こういうことを学んだなとか、すべてのことに意味があったかなって思っています。
-そんな経験があったのですね。福祉の知識もかけあわせてD&IやCARAVANを見ると、また深い気づきがありそうです。
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向かって右が山小田さん
山小田さん
通常のイベントでは気づけないことに気を配ることも多いですよね。今日ここにいない運営メンバーも、たとえば宿泊の手配ではバリアフリーの部屋がないとか、苦戦しながら探し回ってくれています。
こうしたことって障害がない私たちからすると、なかなか入ってこない情報だったなって。もっと知ってもらう機会を作りたいですね。CARAVANなら楽しみながらそれができると思います。
-知ってもらう機会という面では、広報PR担当の山小田さんの役割とも直結しますね。
山小田さん
普段は企画やアーティストさんのブッキングの仕事をしているので、広報PRを担当するのは実は今回が初めてで。こういうふうに記事を書いていくんだとか、メディアさんに伝えるにはこういうふうにしなくちゃいけないんだなとか、毎回新しい学びがあります。ここでの知識が他の仕事にも波及していっていますし、これまでやってきたジャンルと掛け合わせて今後も挑戦したいなと思っています。
自分にとってはすごく意味のある時間になっていますね。
-山小田さんにとってこのCARAVANとは?
山小田さん
それはもう、めちゃくちゃ楽しんでます!
人とこういうふうに関われるのももちろん楽しいですし、いろんな人から刺激を受けてそれを企画にも反映していけていて、すごく理想的な働き方だなって思っています。
松本裕樹さん
(WR/イベントディレクター)
山小田さん(左)とスタッフさんと打ち合わせをする松本さん(左から二番目)。この直後に雨が……。
-松本さんはイベントの制作進行のすべてを担当されているのですよね。
松本さん
会場の選定から制作、レイアウトまですべての要素が自分の領域に入っています。
施工チームも、音響や映像などテクニカルチームも、運営チームも、それぞれの分野のプロとしてやってきていますが、ここまで大規模なD&Iのイベントをするのは初めてという中で、見えていなかったことがたくさんあって、いろいろなことに気づかされています。
-たとえば、どんなことでしょうか。
松本さん
ステージ上もそれ以外の場所も、車いすの方や障害のある方が出演するステージでは、整えないといけない設備やスピーカーの音量等の環境が大きく違います。出演者だけでなくお客さんも多種多様な方が来られる中で、それぞれどのような点に配慮して、どう対応していくかというのを一緒に考えながらやっていますね。
CARAVANを重ねていくごとにパフォーマンスを完成させていく、というふうに思っていたんですけど、イベントを作る側も同じように、積み重ねながら一緒に成長して完成されていっているなという気がしています。
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雨が降っても完全防備の松本さん(右)と紙が濡れて何も書けず立ち尽くす私(左)
-ここでの気づきは、松本さんのこれからのイベント人生にどんな意味を持ちそうですか?
松本さん
幅が広がる、知見が深まるということは、今後できる仕事が増えるということでもありますよね。ここで得たD&Iの視点は、全ての案件で考えるべきことですし、そこも含めて提案していけるんじゃないかなと思っています。
横家孝憲さん
(FM東京)
イベント時はSCHOOL OF LOCK! の出演者さま対応で裏にいることが多い横家さん。そのため今回も横家さんが写っているお写真はありませんでした……。
-横家さんは、CARAVANでのSCHOOL OF LOCK! にかかわるすべての窓口を担当くださっています。普段はどんなお仕事をされているのでしょうか。
横家さん
僕、めちゃくちゃでしゃばっているんですけど、FM東京というラジオ局の営業なんです(笑)
-え、SCHOOL OF LOCK! の制作の方だとずっと思っていました。
横家さん
日本財団さんなどいろんなスポンサーさんの担当営業をしています。もともとは制作もしていたんですけど。
あの、でしゃばりたくてでしゃばってるわけではないんです(笑)財団さんも、WRさんも、みなさんのことがわかるので、まさに間にいるというか自分が出たほうがいいかなという思いでいます。
– CARAVANにも毎回同行されて、いかがですか?
横家さん
CARAVANの前段として「SCHOOL OF LOCK! × 日本財団」のタイアップ企画のSOCIAL LOCKS! ができていることが大きいと思うんです。
SCHOOL OF LOCK! では普段集まらないテーマのメッセージや、これまで集まってこなかった声が聞けているという思いがすごくあって。
その上で、リアルでのCARAVANで、リスナーさんが実際にステージに上がって話を聞かせてくれたり、人が集まってコミュニケーションを取れているというのが、番組としても価値深いなと感じています。
-横屋さんのご自身が、CARAVANを通じて変化したようなことはありますか?
横家さん
D&Iについては恥ずかしながらあまり知りませんでした。参加して、生徒のメッセージもステージも、普段の会話も、一つひとつが全部気づきで。不思議なんですけど、普段道を歩いていても、信号の前の点字ブロックとかが気になるようになりました。視界に入ってくる世界が変わったというか。
-横家さんに、種がまかれている。
横家さん
種、まかれてます(笑)
勉強みたいな入り方ではなく、一緒に楽しみながらというのがいいですよね。それからパフォーマーさんもゲストも地元のダンサーさんも、ほんとすごいなって、一視聴者としていつも思っています。
それぞれの旅の真ん中で、いま思うこと
森下 ひろきさん
(WR/クリエイティブディレクター)
今回森下さんは2日前に札幌に入り、NHK北海道の番組にも出演。当日もNHKさんが取材にかけつけてくださいました
この旅も真ん中に来たんだなって。ここに来るまでにいろんなことあったなぁっていま思っています。
それはもちろんいいことばかりではなかったし。作るっていうことは、そうやってぶつかり合いながら、みんなで悩んで考えて、少しずつみんなの知恵が入っていく。その過程も含めて楽しめているんじゃないかなと思います。
あとはもう、雨、止めって。僕の晴れ男神話を壊さないでくれって感じですね。
(残念ながら雨は最初から最後まで降り続けました)
伊豆牧子さん
(演出・振付)
CARAVANでは、会場ごとにすごく違うものを生み出しているし、パフォーマーたちは一つずつ重ねてきて、みんなの意識も変わってきていると思います。私も毎回すごく楽しみで。
地域のパフォーマーさんたちにも参画してもらっていますが、ご一緒する方々を決めていくのが実はすごく大変で(笑)お声かけは団体一つひとつにしかできなかったり、コロナ禍ということもあって、なかなか決まらないこともあります。
でも、普段からその場所で活動する方々がお互いに出会う機会にもしたいなと思っているんです。
札幌のキッズダンサーたちも、いろんな障害のある人たちと出会って一緒にやることに気づきを感じてくれていますし、交わる場づくりをすることにもCARAVANをする意味があるなと思っています。小さなきっかけの場になればと思っています。
横田紗世さん
(日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS)
-札幌でCARAVANもいよいよ中間地点ですね。
横田さん
一生懸命走っていたらここまできていたという感じです。
一歩目を踏み出してから、やればやるほど役割分担や課題も見えて、次の会場ではこれもつけ加えようというのが見えるようになって、どんどん形になっていくようなところがあって。そうして振り返ってみると、真ん中にきているということに、いま言われて初めて気がつきました。
-横田さんはリハーサルも本番も、かならず現場のどこかにいてくれて、見かけるとほっとします。どんな気持ちでステージを見ていますか?
横田さん
純粋に、パフォーマーの人たちかっこいいなと思って舞台を見ています。
その土地のいろんな人たちが足を止めてくださって、地域のパフォーマーの人たちとのコラボもあって、その土地その土地での完成系になっていくというのは、やってみないとわからないことでした。
SOCIAL LOCKS! 課外授業で司会をしてくださる地元のラジオの方からも、その地域で紡いできたこと、この場所にはこんな人たちが住んでいるんだよというのを教えてもらっている気がします。
CARAVANを全国に持っていくというのもそうなんですけど、いろんなところにいろんな人たちがいて、そこにある出会いを新鮮な気持ちで味わっています。
パフォーマーたちは、そういった出会いや体験も含めてステージで表現しているので、かっこいいですよね。私は魅了されて見ているだけの人、連れていってもらっているという気持ちがあります。
CARAVANは次の地、大阪へと向かいます!
CARAVAN PerformersリーダーのDAIKIさんは、いつもこのイベントに関わるパフォーマー、お客さま、スタッフ全ての人を“CARAVAN Crew”と表現してくれるのですが、みなさんの声を聞いて、私も改めてそれを実感しました。
CARAVAN Crewはお次の地、大阪へ!
近畿エリアのみなさま、2022年8月14日(日)にぜひ、遊びにいらしてください。パフォーマーと一緒にCARAVANを盛り上げていただけたらうれしいです。
>True Colors CARAVAN in Osaka詳細
撮影:鈴江真也
取材日:2022年7月16日、17日