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True Colors Festivalをともに作る仲間を紹介する「Meet The Family(TCFファミリーの素顔)」シリーズをお届けします。今回は、「True Colors Film Festival 2020」のダイアローグセッションを日本語訳を担当した児玉菜穂子さんをご紹介します。
True Colors Film Festival:2020年12月3日~31日
True Colors Film Festival では、「One World One Family(世界は一つの家族)」というテーマに沿った作品を選りすぐってご紹介しました。このテーマは、事物の差異を一層深く認識し、人間の多様性を祝福し受け入れることが今まさに大切だ、ということを伝えるものです。アジアや世界各地の才能ある映画作家たちによる、美しく、示唆に富み、高い評価を得ている作品を通して、そういった論点を広く提示しました。
Q: True Colors Film Festivalでの役割について教えてください
児玉:オンライン対談の字幕を作成するため、英語の書き起こしを日本語に翻訳しました。「”良識ある語り”とは?」、「語り継がれるべき人々、そして物語」、「別離、不正、家族‥‥。イノセンス(純真さ)はどこにあるのか?」の3つです。
True Colors Film Festival ページのダイアローグセションで対談をご覧いただけます
「Listen」でベラ(ルシア・モニッツ)が娘を抱きしめる場面。この作品はポルトガルのアカデミー賞で国際映画賞にノミネートされた。
Q: 今回、True Colors Film Festivalに携わって印象に残ったことがあれば教えてください。
児玉:映画作家やプロデューサーの倫理に対する気遣いに感銘を受けました。私は通常、倫理や意義の高いものを生み出すことにあまり関心の無い、高視聴率ばかりを追い求める商業的なテレビ番組の翻訳に関わる仕事をしています。しかし、この映画祭は全く違いました。映画作家、プロデューサー、キュレーターの意義あるメッセージを観客のみなさんに伝えることに貢献でき、このTrue Colors Film Festivalに携われることに喜びと充実感を感じました。
Q: 映画祭で一番好きだった作品はなんですか?
児玉:「Listen」が一番好きでした。「Listen」の監督アナ・ ロッカ・デ・スーザと映画祭のキュレーター、タン・ビー・シアムが出演している「別離、不正、家族‥‥。イノセンス(純真さ)はどこにあるのか?」という対談を翻訳したのですが、アナが対談の中で言っていたことが私の心を打ちました。「無邪気に見えないその無邪気さに焦点を当てること」という言葉です。無邪気さの罪、そして信じることの罪…国家間の富、社会の不平等、偽りの正義感の行使、人々をコントロールする便利なシステムの恐ろしさ、これらすべてがこの映画の中で描かれており、考えさせられました。
Q: True Colors Festivalは、「One World One Family(世界は一つの家族)」を掲げ、多様性と包摂性を祝福し、地域の枠を超えて開催される舞台芸術イベントのシリーズです。あなたにとって「One World One Family」というメッセージは何を意味していますか?
児玉:私たちは私たちそれぞれの違いを認識し、理解しなければなりません。私たちはすべての命を受け入れ、尊重するべきで、差別をするべきではありません。
児玉 菜穂子(こだま なほこ)
Asia Media Network Communications Pte Ltd ディレクター。雑誌編集者、ライターとして、15年以上出版、英日翻訳、脚本の分野で経験を持つ。