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障害の有無は関係ありません

イルアビリティーズ創設者・マネージャー/ True Colors DANCE出演者

ルカ・レイジーレッグス・パトエリ

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2019年11月7日

皆さんは「Disability(=障害)」という言葉を知っていますか? 私はこの言葉を辞書から取り除き、代わりに「ILL-Ability(イルアビリティー)」という言葉を入れたい。「ILL(イル)」という言葉は「病気」という意味ですが、ヒップホップの世界では「凄い」とか「信じられない」という意味で使われます。私は世界中の全ての人は、隠れた才能を持っていると信じています。そこに障害の有無は関係ありません。

そんな思いから2007年に立ち上げたダンスグループが「ILL-Abilities(イルアビリティーズ)」です。私を含む、6カ国8人のメンバーはそれぞれ異なる障害の当事者。しかし、彼らはみな世界トップクラスのダンサーとして知られた存在でもあるのです。パフォーマンスでは、それぞれの身体の特長を生かした動きを組み合わせて振り付けを構成しています。私たちのスローガンは「NO EXCUSES, NO LIMITS(言い訳なし、限界なし)」。チームの活動は、この理念を世界中の人々にシェアするためでもあるのです。

「言い訳なし、限界なし」と言われると、「言い訳をするな」と叱咤されているようにも聞こえてしまいますが、ニュアンスとしては「挑戦をやめるな」ということです。私自身、3年前に燃え尽き症候群となり、ストレスに苛まれる日々を送っていました。そんな時に「言い訳をするな」と叱咤されたらどうでしょう? 解釈によっては余計に追い込んでしまうかもしれない。私たちが伝えたいことはそうではなく、「何事もトライしてみよう」ということ。コンセプトの意味も、10年の間に変化してきたのです。

これまで、「イルアビリティーズ」として世界各地で公演やワークショップを行ってきました。でも日本でワークショップをするのは今回が初めてです。印象に残っているのは、参加してくれた人が皆エネルギッシュだったこと。今までにないほどのパワーを持っていたと思います。そしてダンスのレベルの高さ。例えば「LOVE JUNX(ダウン症当事者によるダンスチーム)」。多くの場合、高いレベルのダンサーはチームに1人いればいい方なのに、彼らはグループ全体で高いレベルを保っていました。ワークショップではいつも参加者のレベルに合わせて内容をシミュレートしていくのですが、今年はウォームアップの時点でレベルの高さが伺えたので当初の予定から構成を変更して行いました。

ワークショップの運営で気をつけているのは、レクチャーの仕方がメンバーそれぞれで異なる中で、その違いを意識しつつ全体の方向性を統一することです。また誰がリードをとるか、アシスタントに徹するかといった役割分担ですね。とにかくポジティブなエネルギーを絶やさないことを意識しています。

ただ、時には反省もあるものです。私自身は元来エネルギッシュな性格ですが、状況によってはテンションをコントロールすることも大事ということです。今回の日本でのワークショップでも、ワークショップ中に気分が高揚して、参加者の一人を怒らせてしまいました。もちろん仲直りはしましたけれど、多様な人が集まるワークショップの場でのファシリテーションは常にトライアンドエラーなのです。

イルアビリティーズ・ワークショップレポート
イルアビリティーズ インスタグラム
True Colors DANCE

True Colors Festival

歌や音楽、ダンスなど、私たちの身近にあるパフォーミングアーツ。

障害や性、世代、言語、国籍など、個性豊かなアーティストがまぜこぜになると何が起こるのか。

そのどきどきをアーティストも観客もいっしょになって楽しむのが、True Colors Festival(トゥルー・カラーズ・フェスティバル)です。

居心地の良い社会にむけて、まずは楽しむことから始めませんか。

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