voice
「True Colors JAZZ」には、ピアニストの松永くんがディレクターをしていると聞き、これは楽しみだと思って参加しました。彼とは18年ぶりの共演なんですよ。彼がまだ中学生、僕も二十歳くらいの時以来。当時まだお互いにスタイルやカラーが確立していたわけじゃなかったから、今回一緒にセッションできて昔ともちろん全然違って、楽しかったですね。ピアニストの紀平くんやシンガーの小澤さんなどと演奏してみて、曲の捉え方や角度、温度、間の取り方、全て違うなと感じました。それでも、伝えたいと思えば会話(演奏)は続けますよね。その情熱や歓びは、物理的なものでも精神的なものでも、何かが変わっても変わらないんだなと。その気づきが、今回のセッションでの嬉しかったことですね。
「True Colors Festival」自体のコンセプトが「世界はいろいろだから面白い」だと聞きましたが、これはまさにニューヨークに住んでからもうずっと、毎日思わされていること。世界中の文化がぶつかりあい、火花散らして融合しているニューヨークという街に拠点を構えて17年になりますが、その言葉なしに僕の人生はないだろうな。もちろん社会的責任とか義務とか、意識として重要なことはあります。でもシンプルな感覚として、人と違うこととか、自分にしかできないことに気づけたときの胸の高鳴りって、「生きてる実感」だと思うんですよね。気づけば、ニューヨークに行ってからずっとそういう感覚があるようになりました。「世界はいろいろ」であることの価値は大きいですよ。