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【Meet The Family(TCFファミリーの素顔)】これまで東京を中心に開催してきたTrue Colors Festival が、鮮やかな黄色のスクールバスとともに日本各地を巡り、パフォーミングアーツを通じてダイバーシティ&インクルージョンの種を蒔き、各地で花を咲かせるプロジェクト「True Colors CARAVAN」が2022年の春にスタート。クリエイティブディレクターを務める森下ひろきさんにお話を聞きました。
Q: CARAVANは東京を含め7都市をパフォーマーとともにキャラバンバスで巡業するというプロジェクトですね。開催都市はどのように選びましたか?
まず、True Colors Festivalとして東京を飛び出すということ自体初の試みでした。開催地は、できるだけ多くの方々と関わりを持ちたいという思いから人口の多い主要な7都市を選びました。ステージでは、東京で完成させたものを届けるということではなく、各地域の方々と共創し地域それぞれのゴールを目指す、ということを実現していきたいと考えています。
Q: CARAVANの目的は日本中の人々に向けて、アートを通じてダイバーシティ&インクルージョンの意識を広めることだと思います。意識を広めていくにあたって、パフォーミングアーツや芸術表現はどのような力があると思いますか?
パフォーミングアーツには言葉を超えるコミュニケーションがあると信じています。たとえ言葉が通じなくても、同じステージを見て、感動したり、笑ったり、涙が出たり、カラダ全体で感じられる表現がパフォーミングアーツの力であり魅力だと思います。
Q: 森下さんにとって、CARAVANの見どころといえばどこでしょう?
ダンスのジャンルも、障害の有無も、出自も異なるバラバラなパフォーマーが集まり、ひとつのものをつくり上げる姿を感じていただきたいです。このパフォーマンスステージの演出は、日本人初の低身長症クランパーであり、この企画のために様々なジャンルのアーティストが集ったCARAVAN PerformersのリーダーのDAIKIが指揮を取っています。そして、各地域の方々とともに会場がひとつになって完成する瞬間に、是非観客の皆さんにも立ち会って、参加していただきたいと思っています。
Q: 今回のプロジェクトは10代の若者のリスナーを持つ「School of Lock!」とのタイアップですね。ダイバーシティ&インクルージョンの意識を広めていくにあたって、若者が果たす役割は何だと思いますか。
「SCHOOL OF LOCK!」は“ラジオの中の学校”というコンセプトのもと、生徒(リスナー)と向き合い、難しいテーマをできるだけやさしくかみ砕き、みんなで考え、みんなで答えを出す番組です。これからの未来を担う若者たちと多様な社会のあり方を考えるには、「SCHOOL OF LOCK!」とのタイアップしか無いと思いました。
Q: CARAVANにおけるアクセシビリティ面での工夫を教えてください
本プロジェクトでは、アクセシビリティのサポートが必要な人だけではなく、それらを必要としない方にも“あらゆる人たちが一緒に楽しめる方法がある”という可能性を感じてもらいたいと思っています。普段の生活では、音声ガイドや手話通訳に馴染みのない人にも、多様な楽しみ方があるということを体験してほしいです。
Q: True Colors Festivalには「One World One Family」というコンセプトがあります。森下さんにとってこの言葉についてどのように考えますか?
みんなでひとつのものをつくり上げる過程では、意見を言い合い、時には喧嘩もするときもあります。それは、家族というチームと似ていると思うんです。意見を言い合ったり、喧嘩をしたことのない家族なんていないですから。そうやって自分をさらけ出し、相手を受け入れて認め合う。“地球は大きな家族なんだ”と考えると、障害や性、世代、言語、国籍など、そんな違いなんで小さな事だと感じました。
森下 ひろき
クリエイティブ・ディレクター / 株式会社ダブリューアール代表
大阪府出身。クリエイティブ起点でコミュニケーションをデザインし、体験型のプロジェクトなど多数プロデュース。クライアントワークから独自のプロジェクトまで幅広く活動中。カフェ・ギャラリーやWebメディアの運営も手掛ける。