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個性の重なりから生まれるハーモニー

ミュージシャン/ True Colors BEATS出演者

ermhoi

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2019年11月18日

私は普段、実験的に音楽をつくっています。たまたま流し始めた音に、これはどうだろう?と音を重ねていくと聞いたことのない音になって、じゃあ次は……という感じに。自分のつくった音ではなく、「鳴ってきた」音に反応しながらつくっていて、一人でやっていながらも驚きを感じながらつくっています。音のサンプルを入れ替えてみると、同じリズムでも音色(おんしょく)が変わって全然違う世界観を感じます。音を変えているというより、色を変える作業をしている感覚ですね。

「True Colors BEATS」では、大勢での即興演奏ということで、他者の音やジャンルに突然自分の意思と無関係に乗っていくタイミングが訪れたりするんですが、意外とまとまるもので驚きました。まったくの無秩序ではなく、わずかなルールやハンドサインの指示がありますが、それでも正直不安はあります。そんななかでハーモニーが生まれてくるというハプニングと良いショックの連続に、とても強い刺激を感じました。
演奏中は、参加者みんなが人間というより「音楽」になっていて、その「音楽」の波のなかに漂う軽さがサンティアゴさんのファシリテーションでつくられていた。だから、波に流されながらも自分の意思に戻ってきて、それが音になって出て行って……そういう応対がメディテーションのようでした。演奏のフレーズがループすると気持ちよくて、とてもheal(癒し)な時間でした。

ワークショップの初日でセクションをわける時、サンティアゴさんが「organ」という言葉を使っていたんです。私たちは身体をつくる一部の「器官」としてあるだけで、各自が内部で違う動きをしてもそれはひとつの音楽をつくるためのもの、という考え方。それぞれの特徴をそのままに受容してひとつの「音楽」になる、というありかたが面白かったです。

いまの社会って、お互いが大なり小なり攻撃し合っている感じがします。でも音楽って、「ひとつの音楽のために一党独裁で」みたいなものではつくれないしなんか違う。サンティアゴさんも、いい音楽をつくるためにハンドサインで指示を出していて、それを受け取って演奏する人のなかに「彼のために」演奏すると思っている人はきっといない。それぞれが自分のためとか、リスナーのためとか、バンドのみんなで楽しむためとか、そういう各自の自然な気持ちのあり方を一曲通して貫けるというのが音楽の素晴らしいところ。こういうかたちでコミュニケーションとれるやり方って、他にないのかなと考えちゃいますね。音楽って、その瞬間の快楽ではおさまらないコミュニケーションツール。自分に見えている景色を変えるための薬みたいなものにもなるし、そういうものがもっと増えたり、音楽の拡がりを期待したいです。

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True Colors BEATS

True Colors Festival

歌や音楽、ダンスなど、私たちの身近にあるパフォーミングアーツ。

障害や性、世代、言語、国籍など、個性豊かなアーティストがまぜこぜになると何が起こるのか。

そのどきどきをアーティストも観客もいっしょになって楽しむのが、True Colors Festival(トゥルー・カラーズ・フェスティバル)です。

居心地の良い社会にむけて、まずは楽しむことから始めませんか。

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