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キャロライン・ケイシー インタビュー:だれかを責めたり、恥ずかしい思いをさせることなくシステムを変えたい

By オードリー・ペレラ

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2021年9月29日

2021年4月にTrue Colors Festivalのアンバサダーに就任したキャロライン・ケイシーさんは、障害者雇用に関する世界最大規模の経営者ネットワーク「The Valuable 500」(以下「V500」)の創設者。今回はオードリー・ペレラ(True Colors Festivalエグゼクティブ・プロデューサー)によるインタビューから、いくつかの言葉をご紹介します。

Q: どのような思いでV500の活動を続けてきたのでしょうか?

私は反抗者でありつつ、広い心も持っています。
ビジネスにはこの地球上で最も強力な力があって、ビジネスリーダーが行う選択は、文化をも創り出すと考えています。というのも、ビジネスとは人です。私たちは人に向けて物を売り、革新を起こし、人が供給を担い、最終的に人が買うのです。だからこそ、人として頭と心を尽くすことが必要なのです。V500を通して、私は障害の有無に関わらず、あらゆる人々が参加するグローバルな社会を作りたいと考えています。すべての人にとって公平な世界、それは何かを無理強いさせられたり窮屈な状況・ステレオタイプに押し込められることなく、個性そのままに自由に居られる世界です。私は人々の「ちがい」には、驚くべき力があると信じているのです。

Q: ビジネスにとってインクルージョンは必要だと言えますか?

インクルージョンを実現し、誰もが心地よい世界を作るためには、「他のだれかがやるだろう」ではなく、私たちが責任を持たなければいけません。私たち一人一人に果たすべき役割があるのです。
私たちは見なかったことにはできない出来事の目撃者になりました。パンデミックからの復興を考えるにも、ここから学びインクルージョンを確かなものにする必要があるのです。私たちそれぞれには、果たすべき役割があるのです。人類の進化において、今日の世界の人口の15~20%(世界人口の約15%が何らかの障害がある:国際連合広報センター)を見過ごすことなどできません。例えば、柔軟な働き方は、長年、障害のある人々から繰り返し求められてきたにも関わらず、実現してきませんでした。ところが今回の地球規模のパンデミックによって、ビジネスの仕組みはあっさりと変革されて、あっという間に在宅勤務が実現しました。この状況を目の当たりにして、私たちは黙っていることはできません。これを教訓にして、全ての人にとってのインクルージョンを確かなものにすることが、未来のリスクを避けるためのより良い方法なのだと学ぶべきです。

Q: V500をスタートさせた時のことについて聞かせてください。

ずっとやりたいとは思っていたのですが、実行を決めたきっかけは父が突然亡くなったことでした。悲しみが力となり、リスクについて考えるのをやめました。周りの人々からは『何を言っているんだ?世界で最も影響力のある500人のCEOに関心を持ってもらうなんて、何様のつもりだい?世界経済フォーラム(ダボス会議)のメインステージに立てるなんて、本気で思ってるのかい?」などと言われました。とはいえ、私に聞く耳はありませんでした。自分の信じていることに対して自尊心があったし、自分の持っているもの全てをそこに注ぎ込むことも全く苦になりませんでした。人に信じてもらうには、私が私を信じるのが一番ですし、次には、V500チームを信じる必要がありました。私は、誰かに恥ずかしい思いをさせたり、誰かを非難したりせずに、世の中の仕組みをあるべき姿に変えたいと考えていました。障害というものの扱われ方を書き直してみたかったのです。

Q: V500の活動に対して、ご自身の障害は何か影響を与えていますか?

私はこれまでとても長い間、居場所を求めて必死にあがき続けてきました。周りに合わせて、自分ではない誰かになろうとして、自分が視覚障害者だということを隠していました。マヤ・アンジェロウの美しい言葉に、『あなたの中の語られていない物語ほど、大きな苦しみはない』というものがあります。この言葉は、この世界の人々が、社会に合わせるために本当の自分を隠していることの苦しみを伝えてくれています。
28歳のとき、私はついに『障害者』であることをカミングアウトしました。それは私にとって、世界への跳躍でした。他のみんなにも、自分自身として自分の居場所を持つことに価値を感じてもらいたい。私は甥っ子に『あなたはそのままで完璧だよ』と伝えますが、私はそれが真実であってほしいのです。自分が何者かを隠そうとしていては、、それぞれの本来の素質を輝かせることなどできません。

 

Q: True Colors Festivalのアンバサダーとしてのお気持ちを聞かせてください。

自分らしくいられることが何より一番です。私たちは皆それぞれ違います。その違いを尊重し、人々が可能性を発揮できるようにしなければ。そうして初めて、私たちは、建設的にこの世界に貢献し、その一部となることができるのです。True Colors Festivalの価値観、それは『そうだ!自分だけの美しさを信じて表現するんだ!』という気持ちです。人に要求したり、聞いてもらおうとドタバタするのではありません。それは、私が私であることへの祝祭なのです。私たちは、それぞれが持つ美しい違いを祝う必要があるのです。

Q: ダイバーシティの実現に向けて、アートはどのような役目を果たすでしょうか?

変化はアートから始まります。私たちは日々身の回りにアーティストたちがいることや、芸術がどれほど私たちに影響を与えているかということに気付いていません。芸術には、私たちの心を脅かすことなく、心の扉を開いてくれる何かがあります。

Q: 人々の気持ちを変えるには、どのような方法が有効なのでしょう?

ほとんどの人が、他者を傷つける気なんかないのだと、私は信じでいます。その気持ちを口にするのはとても大事です。私はよく『本当にごめんなさい。多分私はこれを知っているべきなのだけれど、知らないのです』とか『あなたを怒らせてしまうかもしれないけど、どうやって言えばいいのでしょうか?』とか『これを知っておいた方がよいのでしょうか?』とか『助けてもらえますか?』というようなことを言います。皆いつも失言してしまわないだろうかと、非常に心配していますが…しかし、何も話さなければ、学ぶことも成長することもできませんからね。

Q: SNSなどでの失言によって、立場を追われる人もみられます。それでも主張を続けることができるのはなぜでしょう?

立場を追いやられることを恐れるあまり、何も発しないというのは違うと思います。
私たちは、誰かが間違っても許し合える場でなければなりません。間違ったとしても、それは悪いことではありません。しかし虐待的な行為はそれとはまったく別もので、非難されるべきものです。
あらゆるインクルージョンに完璧に精通している人なんて世界に一人もいないと思います。だって人類全ての人生経験を全部を知ることなんで、誰にもできませんから。
(*訳注 : 主にSNSなどで、個人や組織、思想などのある一側面や一要素だけを取り上げて問題視し、多数が同時に圧力をかけ社会的に追放しようとする行為)

 

Q: True Colors Festivalは多様性とインクルージョンを称える芸術祭として、「One World One Family(世界は一つの家族)」というキーワードでPRを行なっています。キャロラインさんの考える「ワン・ワールド・ワン・ファミリー」について教えてください。

私にとって、世界と家族はよく似た存在です。私たちは皆、異なる存在でありながら、互いにつながっています。
我々一人ひとりに共通しているのは、私たちが「人間である」ということです。私たちのDNAの96%は同じです。96%ですよ!あとの4%の差異が、私たちそれぞれの持っている美しさです。そして、それは祝福されるべきものなのです。

キャロライン・ケイシー
世界最大のCEO集団で障害者雇用のためのビジネス活動を行う「The Valuable 500」を運営する企業家であり活動家。
2019年に世界経済フォーラムのダボス会議でこの運動を開始し、それ以来、ビジネスシステムを根本的に変革するために、世界中で2,000万人を雇用する500の多国籍企業と契約する。IAPB(国際失明予防協会)会長。障害者運動家として、名誉博士号をはじめ、数々の賞を受賞する。

The Valuable 500

True Colors Festival

歌や音楽、ダンスなど、私たちの身近にあるパフォーミングアーツ。

障害や性、世代、言語、国籍など、個性豊かなアーティストがまぜこぜになると何が起こるのか。

そのどきどきをアーティストも観客もいっしょになって楽しむのが、True Colors Festival(トゥルー・カラーズ・フェスティバル)です。

居心地の良い社会にむけて、まずは楽しむことから始めませんか。

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