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イルアビリティーズとは付き合いも長いし、一緒に踊ったこともバトルでジャッジしたこともあるなかでいつも思うのは、人のもつ可能性のすごさについて。障害をもって何かを諦める人もいると思うんですが、彼らを見ると本当に底知れない可能性を感じる。モチベーションの在り方を、踊りの力強さからとても感じて、見習わないと、と思います。
そして「True Colors DANCE」の会場の雰囲気には、なんともいえない温かさがありましたね。いつものダンスイベントだと身内や知り合いが沢山いて、それはその良さがあるわけですが今回は一般の方が多くて、みんなで一緒につくっている、一緒になっていることを踊りながら感じていました。普段は感じないこの温かさは、イルアビリティーズをはじめとするみんなの力。こうした環境に自分も参加できて嬉しかったです。
2020年にはオリンピック・パラリンピックがありますよね。当然のことですが、企業や人々は「スポーツ」に興味を示している。でも、僕はその「スポーツ」ってそもそもカルチャーがないと育たないと思うんです。だからスポーツに目を向けるのと同じくらい、その背景にあるカルチャーや芸術について、そしてそれを支えている人たちのことを考えたい。そこからアスリートが生まれるわけじゃないですか。カルチャーは、人間が根っから感じたり各々がもっているものだと思うんです。で、たくさんあるカルチャーと触れるなかで「スポーツ」に辿り着いただけで、原点はおそらく芸術だと僕は思っています。
サッカーのトリックだって芸術だと思うんです。芸術や文化の話なしにスポーツは語れないし、そういう視点や議論ももっと広まるといい。西洋はそういう捉え方が特に高い印象ですが、日本も歌舞伎や能楽といった「伝統」芸術だけじゃなく、こういう観点での芸術へのフォーカスが高まるといいですよね。トレーニングでも、新しい文化と融合させた結果金メダルがとれる選手が輩出されたり、いい作品が生まれたりするわけじゃないですか。2020年、芸術とスポーツが密接に関係しあい、それがオリンピックとパラリンピックに壁がないのと同じく、一般の人と障害のある人といった壁がない状態をつくれていたらいいなと思いました。