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True Colors Festivalをともに作る仲間を紹介する「Meet The Family(TCFファミリーの素顔)」シリーズ。2021年6月に配信がスタートする予定のTrue Colors CIRCUS: SLOW CIRCUS PROJECT「T∞KY∞(トーキョー)~虫のいい話~」。今回はクリエイティブプロデューサーの栗栖良依さんに、SLOW LABEL設立のきっかけや今回の演目へ込めた想いについて伺いました。
True Colors CIRCUS:2021年4月25日、26日
*政府より緊急事態宣言が発令されたことに伴い本公演は中止となりました。
Q: 栗栖さんが理事長を務めているSLOW LABELやパラリンピックなどに関わったきっかけを教えてください。
2010年に自分自身が骨肉腫を患い、それまで追い続けていた夢や仕事を失いました。障害者になって社会復帰をした時に、横浜にある象の鼻テラスに声をかけてもらい障害者施設とアーティストのものづくりプロジェクトのディレクターになりました。そこからSLOW LABELというブランドを立ち上げました。
ヨコハマ・パラトリエンナーレを2014年に企画した際に、美術展やパフォーミングアーツなどのコンテンツの一つとしてサーカスを導入しました。この活動をパラリンピック・リオ大会の閉会式・旗引継ぎ式の演出を担ってたチームが知ってくれたことがきっかけで関わることになりました。
True Colors CIRCUSのリハーサルの様子。虫の衣装を纏った出演者たちがステージ中央に集まり緑のライトで照らされている
Q: 「True Colors CIRCUS: Too Good to Be a Bug」の構想作りにはどのくらいの時間がかかりましたか?
3年くらいです。最初はもっとスタイリッシュで都会的な雰囲気の作品をつくろうとしましたが、2019年秋に南米でソーシャルサーカスを実践する団体や人々に出会ったことがきっかけで、未来に対するイメージが180度変わり、今回のような森をテーマにしたストーリーに落ち着きました。
Q: ソーシャルサーカスの魅力はなんでしょうか?
一人一人の心身やコミュニケーションの取り方などの違いに対して寛容であると共に、そのことを価値に変える力があります。それは今の時代が求めているアプローチであると思います。
また、SLOW LABELの大きな強みは舞台芸術の業界の常識に囚われないことだと思っています。
Q: 「True Colors CIRCUS」プロジェクトに関わる中で印象的な経験をお聞かせください。
昨年からの新型コロナウイルスの影響で活動が中断してしまったことです。リモートでの稽古やオンライン配信での発表形態など色々と検討した結果、やはり対面でのリハーサルとリアルでの発表という形式を選択しましたが、再び緊急事態宣言がでてしまい観客をいれることはできなくなってしまいました。
ただ、6月からの配信では、未来の理想の景色を見ていただくことができると思います。
Q: 「True Colors CIRCUS」障害のあるパフォーマーと観客の両方の視点から、パフォーミング・アーツにおけるアクセシビリティについて、改善しなければならない点は何でしょうか?
障害のあるパフォーマー、障害のあるパフォーマーのクリエイションや障害のある観客を支援する人材が、きちんとそのことで生計を立てていけるようになることが大事だと思います。
会場となる予定だった池袋西口公園でのリハーサル風景。多くの関係者がステージを見守っている
Q: True Colors Festivalのメッセージは「One World One Family」ですが、これはあなたにとってどのような意味を持ちますか?
自分にも他人にも地球にも優しく生きること。
栗栖良依
SLOW CIRCUS PROJECTクリエイティブプロデューサー。「日常における非日常」をテーマに、国内外のアート・デザイン・エンタメの世界を横断するプロジェクトを多方面で展開。2010年骨肉腫による右下肢機能全廃で障害福祉の世界と出会い、翌年SLOW LABEL設立。2014年よりヨコハマ・パラトリエンナーレ総合ディレクター。2016年リオ・パラリンピック ステージアドバイザー。東京2020開会式・閉会式4式典総合プランニングチームクリエイティブディレクター。