True Colors Festivalの歩み
True Colors Festival 開催経緯
「国際障害者芸術祭」から、「超ダイバーシティ芸術祭」へ
True Colors Festivalの原型となったのは、日本財団が海外における障害者支援活動の一環として行ってきた「国際障害者芸術祭」です。
アジアでは文化的な背景もあり、障害者は慈悲や支援の対象として見られることが多く、人々の前に出る機会も限られている状況がありました。一方で、障害がありながらも、表現者としてパフォーマンスの技術を磨いている人たちがいることも分かってきました。そのような中で、障害のあるアーティストにステージ上で表現をする機会をつくり、障害者やその家族も含む多くの人に鑑賞してもらうことで、障害に対する意識の変化や自立に向けた後押しをすることを目的に行われました。
2006年、ラオス・ベトナムで「障害者芸術祭」を初開催。2008年にカンボジア、2013~2015年にミャンマーで開催し、2017年にはタイで「障害者太鼓祭」を開催しました。そして2018年3月シンガポールにてUNESCOとの共催で開催した「アジア太平洋障害者芸術祭」は過去最大規模のものになりました。3日間の会期中に22ヵ国100名以上の障害のあるアーティストがステージに立ち、シンガポール大統領や教育大臣も含む約10,000名の方に鑑賞いただきました。その中で、異なる国の多様な障害のあるアーティスト同士がさまざまなコラボレーションをしただけでなく、障害のないアーティストとの共演も試みられました。
10年以上をかけて各地で国際障害者芸術祭を展開してきた中で、いくつかの気づきがありました。それは、表現者と鑑賞者が空間を共にして「出会う」ことができるパフォーミングアーツは、表現をする側にも鑑賞をする側にも深い体験をもたらし、意識や視点の変化を促す可能性があるということ。そして、ステージ上では、障害・性・世代・言語・国籍など多様な個人のちがいを超えたコラボレーションが可能であり、それによって人の心に届く卓越した表現を生み出すことができるのではないか、ということです。
これから2020年の夏に向けて展開するTrue Colors Festivalは、以上の気づきをもとに、「障害」という看板を下ろし、多様な個性と背景を持つ人たちが共につくる「超ダイバーシティ芸術祭」として初めて開催する取り組みです。障害の有無、多様な性的指向・性自認・性表現のあり方、国籍、言語、世代などを横断して、さまざまな人がその人らしい色合いを出しながら共に生きる社会の可能性を発信するため、この取り組みを実施いたします。
これまでの開催実績
2006年 | ラオス、ベトナムで「障害者国際芸術祭」開催 |
---|---|
2008年 | カンボジアで「障害者国際芸術祭」開催 |
2013~2015年 | ミャンマーで「ASEAN障害者芸術祭」開催 |
2017年 | タイで「障害者太鼓祭」開催 |
2018年 | シンガポールで「アジア太平洋障害者芸術祭~True Colours~」開催 |
アジア太平洋障害者芸術祭
「True Colours Festival」について
アジア太平洋障害者芸術祭での写真
-
-
-
-
Photo:冨田了平
日時:2018年3月23日(金)~25日(日)
会場:シンガポール・インドア・スタジアム(シンガポール室内競技場)ほか
主催:日本財団、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)
シンガポール運営団体:Very Special Arts Singapore(VSA)
後援:アジア太平洋障害者センター(APCD)
アジア太平洋地域における障害者の舞台芸術活動を通して、障害者のエンパワーメントならびに障害者を取り巻く社会全体に対する啓発を行うことを目的に、日本財団とユネスコの主催により2018年3月にシンガポールにて開催されました。会場は、シンガポール・インドア・スタジアム(シンガポール室内競技場)および、その周辺のOCBCスクエア等を含む近隣施設で行われ、3日間の開催期間中、約1万人を超す観客が訪れ、日本、中国、韓国、フィリピン、カンボジア、マレーシア、シンガポール、インドネシア、インド、ニュージーランド、オーストラリア等20カ国以上から、200名を超すアーティストやパフォーマーが参加しました。また、関連プログラムとして、障害と芸術に関する会議やワークショップ、障害のあるアーティストらが意見交換・交流をする「アーティスト・ダイアローグ・セッション」も開催され、多岐にわたる国際的な人材交流や知識・経験の共有がなされました。
アジア太平洋障害者芸術祭での写真
Photo:冨田了平